個人事業から法人成りするメリット・デメリット

個人事業を営んでいる方の中には、事業の成長に伴い法人成り(法人化)を検討する方もいるのではないでしょうか。

法人成りは、事業に大きな変化をもたらすため、慎重な判断が必要です。

本記事では、法人成りのメリット・デメリットを詳しく解説し、どのような場合に法人成りを選ぶべきか、その判断基準を提供します。

法人成りとは?

法人成りとは、個人事業主が株式会社や合同会社などの法人を設立し、事業を法人として運営することを指します。

法人成りすることで、個人事業とは異なる法的地位や税制が適用されます。

法人成りのメリット

  1. 節税効果:
    • 法人税率は所得税率よりも低く設定されているため、所得が増えるほど節税効果が期待できます。
    • 役員報酬を経費として計上できるため、所得分散による節税が可能です。
    • 生命保険や退職金などを経費として計上できる場合があります。
  2. 社会的信用度の向上:
    • 法人登記を行うことで、取引先や金融機関からの信用度が向上し、取引拡大や資金調達が有利になることがあります。
    • 人材採用においても、法人である方が応募者の安心感につながり、優秀な人材が集まりやすくなります。
  3. 有限責任:
    • 個人事業主は事業の負債に対して無限責任を負いますが、法人の場合は出資額を限度とする有限責任となります。
    • 万が一、事業がうまくいかなくなった場合でも、個人の財産が守られます。
  4. 事業承継の円滑化:
    • 法人化することで、株式譲渡や事業譲渡による事業承継が容易になります。
    • 後継者への事業承継を計画している場合、法人化は有効な手段となります。

法人成りのデメリット

  1. 設立・運営コストの増加:
    • 法人設立には、登録免許税や定款認証費用などの費用がかかります。
    • 法人運営には、税理士や社会保険労務士への報酬、法人住民税などの費用が発生します。
  2. 事務作業の煩雑化:
    • 法人になると、会計処理や税務申告などの事務作業が複雑になります。
    • 専門知識が必要となるため、専門家への依頼が必要となる場合があります。
  3. 社会保険への加入義務:
    • 法人化すると、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務付けられます。
    • 社会保険料の事業主負担が発生するため、コストが増加します。
  4. 赤字でも税金が発生する:
    • 法人住民税の均等割という税金は、赤字でも支払う必要があるので注意が必要です。

法人成りの判断基準

法人成りは、以下の基準を参考に検討すると良いでしょう。

  • 課税所得が一定額(一般的に800万円~1,000万円)を超える場合
  • 事業拡大を計画しており、資金調達や人材採用を強化したい場合
  • 社会的信用度を高め、取引先との信頼関係を築きたい場合
  • 事業承継を計画している場合
  • 社会保険に加入し、福利厚生を充実させたい場合

まとめ

法人成りは、メリットだけでなくデメリットも存在します。事業の状況や将来の展望を踏まえ、慎重に判断することが重要です。

法人成りを検討する際は、税理士や専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。