夫婦間で自宅を名義変更(生前贈与)するメリットと、かかる税金・登記費用

夫婦間で自宅を名義変更(生前贈与)するメリットと、かかる税金・登記費用

「長年連れ添った妻に、感謝を込めて自宅の名義を譲りたい」

「将来の終活や相続を考えて、今のうちに自宅を妻名義に変更しておいた方がいいのだろうか?」

このように、夫婦間で自宅の不動産名義を変更(おしどり贈与・生前贈与)したいというご相談は非常に多く寄せられます。しかし、不動産の名義をただ変更するだけだと思って安易に手続きをしてしまうと、後から思わぬ高額な税金(贈与税)の請求が届き、後悔することになりかねません。

本記事では、司法書士の視点から、夫婦間で自宅を名義変更するメリットや、発生する税金・登記費用、そして失敗しないための注意点を分かりやすく解説します。


1. 夫婦間で自宅を名義変更(生前贈与)する3つのメリット

夫婦間で元気なうちに自宅の名義を変えておくことには、単に名義が変わるというだけでなく、法律・感情の両面でいくつかのメリットがあります。

  • 配偶者の老後の生活を守り、安心感を与えられる:

万が一、夫(または妻)が先に亡くなった場合でも、自宅の名義があらかじめ配偶者になっていれば、住まいを追われる心配がありません。配偶者への感謝を形にする終活の一環としても選ばれています。

  • 将来の相続トラブル(争続)を予防できる:

生前に名義を変更しておくことで、その不動産は相続財産から外れることになります。将来、他の相続人(子供や兄弟など)との間で実家の遺産分割をめぐる話し合い(遺産分割協議)を行う必要がなくなるため、トラブルを未然に防げます。

  • 税制上の大きな優遇措置が使える場合がある:

一定の条件を満たせば、最大2,110万円まで贈与税が非課税になる特例を利用できます(詳細は後述します)。


2. 夫婦間の名義変更にかかる「税金」の注意点

不動産の名義変更(生前贈与)には、主に「贈与税」「不動産取得税」「登録免許税」という3つの税金が関係してきます。

① 贈与税(特例を使えば最大2,110万円まで非課税)

通常、高額な不動産をタダで譲ると重い贈与税がかかりますが、婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、「贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)」という特例が使えます。

  • 控除額: 最高2,000万円(基礎控除110万円と合わせて最大2,110万円まで非課税)
  • 主な条件: 婚姻期間が20年以上であること、贈与される不動産が自分が住むための国内の自宅(またはその購入資金)であること、贈与を受けた翌年以降も引き続き住み続ける見込みであること。

※注意点: この特例を利用する場合でも、税務署への確定申告が必須となります。申告を忘れると優遇措置が受けられなくなるため注意が必要です。

② 不動産取得税

不動産を贈与によって取得した際に、都道府県から課税される税金です。

相続で取得した場合は原則非課税ですが、生前贈与の場合は課税対象となります。ただし、居住用不動産であれば軽減措置が受けられるケースが多いため、事前にいくらになるか試算しておくことが大切です。


3. 手続きにかかる「登記費用(実費)」の目安

名義変更を法務局へ申請(登記申請)する際、必ず国に納める必要があるのが「登録免許税」です。

  • 税率: 不動産の固定資産税評価額の 2.0%(100分の2)

(例:建物の評価額が1,000万円の場合、登録免許税は20万円となります)

これに加え、司法書士に書類作成や申請代行を依頼する場合は、数万円〜の司法書士報酬が別途発生します。


4. 夫婦間の名義変更でよくある落とし穴

「おしどり贈与の特例があるなら、すぐに名義変更しよう」と焦るのは禁物です。以下のような実務上のデメリットや注意点も存在します。

  • 「相続」で譲るよりも実費(税金)が高くなる:

登録免許税の税率は、生前贈与(2.0%)に比べ、相続(0.4%)の方が圧倒的に安く設定されています。また、相続であれば不動産取得税もかかりません。「税金面だけで見ると、生前に無理して変えるより、遺言書を書いて相続で譲った方が安上がりだった」というケースも少なくありません。

  • 自宅に「住宅ローン」が残っている場合は要注意:

ローンが残っている自宅を銀行に無断で名義変更すると、金銭消費貸借契約の規約違反となり、ローンの一括返済を求められるリスクがあります。事前に融資元の金融機関への確認・相談が必須です。


5. 当事務所(司法書士)へ相談するメリット

夫婦間の不動産名義変更は、法律上の手続き(登記)だけでなく、税金(税務)の知識が不可欠なハイブリッドな領域です。当事務所では、以下のような体制で安心のサポートを提供しています。

  • 提携税理士とのワンストップ連携:

当事務所は相続・贈与に強い信頼できる税理士と緊密に連携しています。「生前贈与と遺言、どちらがトータルの税金・費用を抑えられるか」のシミュレーションから、贈与後の税務申告まで、窓口を一本化してスムーズに対応いたします。

  • 面倒な戸籍収集や書類作成をすべて代行:

特例の適用に必要な婚姻期間を証明するための戸籍謄本の収集や、法務局へ提出する贈与契約書・登記申請書の作成まで、正確・迅速に行います。


まとめ:ベストなタイミングはご家庭ごとに異なります

夫婦間での自宅の名義変更は、奥様・旦那様への思いやりを形にする素晴らしい選択肢ですが、不動産の価値や住宅ローンの有無、今後のライフプランによって「生前贈与すべきか、遺言で遺すべきか」の正解は異なります。

「我が家の場合はどちらがお得?」「手続きの流れを詳しく知りたい」という方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。提携税理士とともに、ご家族にとって最も安心で損のない方法をご提案いたします。